ロゼワインの対極な存在「白ブドウを使って赤ワインのように造った」オレンジワイン

今日はオレンジワインとは?について説明していきます。


その名前からオレンジで造ったフルーツワインを想像してしまいがちですが、オレンジワインはれっきとした
ワインの一種です。白ブドウを使って赤ワインのように造ったオレンジ色のワインです。
黒ブドウを使って白ワインのように造るロゼワインと対極の存在なのです。
味わいの特徴はアプリコットやオレンジピールなどのアロマティックな白ワインのような香りと、赤ワインのようなタンニンと苦味を併せ持った飲みごたえを感じます。確か昨年9月の試飲販売会の当日スタート直前に密かに
試飲したところ予想以上にボディを感じるしっかりとした味わいだった印象です。


◆オレンジワインの製法


●まずは基本的な赤ワインから。

赤ワインは、破砕した黒ブドウの果皮を果汁と一緒に発酵し醸すことで、果皮に含まれる青や赤色の
色素(アントシアニン)が溶出し、赤ワインになります。

●白ワインの製造法
続いて、最もシンプルな製造法が白ワインです。
白ブドウを破砕し、果皮や種子を除いた果汁だけを発酵させることで、透き通った白ワインになります。

●ロゼワインの製造法(最上部)
ロゼワインの製法はいくつかありますが、図は果皮、種を除去して果汁のみを熟成する
直接圧搾法。



●オレンジワインの製造法
オレンジワインは、原料が白ブドウなだけで赤ワインと同じプロセスで造られています。

ただし、白ブドウの果皮中にアントシアニンが含まれていないので、赤色にはなりません。
代わりに黄色系色素が溶出することで、オレンジに近い色調になります。




■新しいカテゴリーとして認知された理由とは
オレンジワインは、大昔からジョージア(クルジア)で造られていましたが、広く知られていませんでした。
ブームになった最大の理由は「オレンジワイン=自然派ワイン(ナチュールワイン)」
オレンジワイン流行の原動力です!

通常、白ワインは自然の酸化防止剤であるタンニンを持たないため、赤ワインに
比べると亜硫酸(酸化防止剤)が多めに必要です。実際にEUの規定でも、白ワインは赤ワインより若干多い
酸化防止剤を含むことが認められています。

しかし、オレンジワインは赤ワインと同じようにタンニンがあるため、亜硫酸の添加を控えたワイン
造りが可能らしいです。

ここに目を付けたのが、世界的ブームとなっているナチュラルワインの生産者です。彼らは、白ワインを
オレンジワインとして造ることで、自分たちのワインへの添加物を少なくすることを可能にしました。
そうして添加物の少ない最新のワインとしてナチュラルワインブームに上手く乗ったわけですよ!
要はオレンジワインブームはナチュラルワインブームの派生の一つだと言えます。


しかし、現在ではナチュラルワイン生産者以外もオレンジワインを造るほど一般的なカテゴリーに
なっているので、必ずしもオレンジワイン=ナチュラルワインではありません。

もう一つの理由は、フードフレンドリーさ。

独特な厚みのある味わいのオレンジワインは、本来ワインと相性があまり良くない料理とも
マッチすると。。。

例えば、辛い香辛料を使ったインド料理や韓国料理は、白ワインでは繊細すぎ、赤ワインでは強い
渋味が辛味と喧嘩してしまうので、ワインを合わせることが難しい料理です。しかし、そんな料理と
中間のオレンジワインは良く合います。※←これロゼワインにも言えますけどね。。。

ここに目を付けたのが、世界のトップソムリエたち。オレンジワインは、今までになかった面白い
フードペアリングが可能だったため、彼らがレストランで提供し、ワイン消費者に認知されることで
新たなカテゴリーの確立に繋がりました。



■最後にオレンジワインの歴史

※ジョージア伝統的な陶器「ヴェヴリ」
起源は、ワイン発祥の地と言われるジョージア。8000年も前からワイン造りをしている国です。
ヴェヴリと言われる土中に埋めた陶器の中で、白ブドウの果皮や種を果汁と一緒に発酵させて白ワイン
(オレンジワイン)を造っていました。

◆オレンジワインの復活劇場!!
しかし、ジョージアは旧ソ連の支配下にあり、国際市場には出まわらず忘れ去られたワインでした。
そんなオレンジワインを現代に復活させたのが、イタリア・フリウリ州の生産者グラヴナー。
様々な発酵方法を試していたヨスコ・グラヴナー氏は、ジョージアワインにインスパイアを受け、
1998年に初のオレンジワインを造りました。

このオレンジワインがジャーナリストから高い評価を受け、イタリアの自然派ワイン生産者たちに
瞬く間に広まりました。ここからオレンジワインの復活劇場の始まりです。さらに近年ではジョージ
アワインが流通し始めたこともあり、オレンジワインはさらに一般的に。ヨーロッパの国々はもちろん、
オーストラリアやカリフォルニアなど新世界でも造られています。