イタリア銘醸赤ワインのひとつ「バレバレスコ」とはどんなワイン?

イタリア銘醸赤ワインのひとつ「バレバレスコ」とはどんなワイン??

※画像:ピンク色の箇所が「バルバレスコエリア」です。
バルバレスコとは、イタリア北西部にあるピエモンテ州のバルバレスコ村周辺の地域で造られる高級赤ワインのことで、バローロと並び、最高級イタリアワインの1つと称されています。特に日本ではバローロのほうがバルバレスコよりも名前が知られていますが、香りや味わいにおいてはバローロに劣っているわけではないですね。一時期ワイン業界では「バルバレスコはバローロの弟分」として苦しんだ時期もありますが、今ではバローロが「ワインの王様」と称されているのに対して、エレガントな味わいや香りからバルバレスコワインは「ワインの女王様」と称されています。バルバレスコの産地もバローロの産地もアルプス山脈の麓にあり、夏は日差しが強く乾燥する一方で、冬は厳しい寒さとなり雪の多く振る地域です。厳しい寒さの中で栽培されるネッビオーロという品種のブドウだけを使ってバルバレスコワインが造られます。(この点はバローロと同じです。)

黒ブドウのネッビオーロ種からは造られるこのワインは
タンニンが強く、長期熟成型です。


■バルバレスコの特徴とバローロとの違い。
バルバレスコは『ネッビオーロ』という品種のみを使って作られます。ネッビオーロは若いうちはタンニンの渋みや酸味が強いですが、熟成を重ねるごとにバラの花のような芳醇なアロマが表れます。長期熟成にも耐えられる、力強い味わいの品種です。同じピエモンテの銘醸ワイン「王様バローロ」「女王バルバレスコ」とも
いずれのワインもネッビオーロというブドウ品種のみを使って造られており、長期熟成型の高級赤ワインです。
バローロとのバルバレスコとの一番の違いは『熟成期間』にあります。バローロは最低38ヶ月間(そのうち18ヶ月は樽熟成)の熟成が必要なのに対して、バルバレスコ最低26ヶ月間(そのうち9ヶ月は樽熟成)。バルバレスコの方が期間が短いため、酸味や渋みが柔らかく繊細でエレガントな味わいと香りのワインに仕上がります。





赤ワインの醸造工程ではマセラシオンといってブドウ果汁を果皮・種子とともに入れ、アルコール発酵をしながら果皮・種子に含まれるタンニン(渋味成分)をワインに移していきます。いわゆる「醸し」ですね。このマセラシオンの工程においてもバルバレスコのほうが短い期間となっているのでバローロと比べて渋味や酸味が柔らかく、エレガントな味わい・香りに仕上がってきます。タンニンが多く含まれるワインのほうが寿命が長くなり、長期の熟成が必要になることから、バルバレスコのほうが熟成が進みやすく、比較的早いタイミングで飲み頃を迎えます。この辺りもバルバレスコの特徴のひとつでありバローロとの違いです。




今やイタリアワインを筆頭するワインの1つとなったバレバレスコですが、最大の要因は「イタリアワインの帝王」とも呼ばれるアンジェロ・ガヤ(Angelo Gaja)の存在と功績を無くして今の地位はありません!



帝王「アンジェロ・ガヤ」

1960年代末に家業のワイナリーを継いだガヤは、フランスへの視察旅行で刺激を受け、発酵温度管理や新樽を含む小樽の導入、単一畑名ワインの創設、仏系品種(シャルドネやカベルネ・ソーヴィニョンなど)の栽培開始などを次々と行っていきます。革新的な方法は高く評価されており、イタリアの有名なワイン評価誌ガンベロ・ロッソにおいて幾度となく最高評価を取り、イタリア各地の生産者たちにも大きな影響を与えました。
※「アンジェロ・ガヤ」ぜひ雑学のひとつとして知っておいてください。



現在においても「バレバレスコ」=アンジェロ・ガヤです