■シュールリー製法でつくる白ワイン


■シュールリー製法でつくる白ワイン
まずは、一般的な白ワインの造り方について・・・
収穫したブドウは果房から果粒を外し、ワインに必要のない果梗(枝の部分)を取り除き、種がつぶれない程度に破砕して果汁にします。
果汁のみをステンレスタンクや木樽に入れ、酵母を加えることでアルコール発酵が始まります。
発酵が終わったあとは、上澄みを他へ移しタンクの底の澱を取り除く「澱引き」という作業をおこない、その後ワインの清澄度や透明度をより高めるため、清澄・濾過をおこないます。

しかし、シュール・リー製法では、発酵が終わったタイミングであえてこの澱引きをせず、澱はそのままタンクの底に残しておき春まで澱と一緒に熟成させておく醸造方法です。
これにより、ワインが澱(酵母)と長い間、接していくことで、発酵を終えた澱が自己分解して、アミノ酸や多糖類などに変わり、ワインに旨みが溶け込むことができます。
そのため、シュール・リー製法で造られる白ワインは、ただの軽快な辛口の白ワインではなく爽やかながらもクリーミーでリッチ、また深みがあり、複雑でほんのり旨味を感じる味わいになります。
しかしながらこの製法は、雑菌などが繁殖しやすいため温度管理がとても重要になります。
ですので、シュール・リーと明記されていたらひと手間かけたコクのある旨味のあるワインとも言えますね。




~~シュール・リー製法が用いられるワイン産地とブドウ品種~~
シュール・リー製法が用いられている産地でもっとも有名なのが、フランス・ロワール地方河口付近のナントのミュスカデです。「ミュスカデ」というブドウ品種は、フランスのロワール川下流域、大西洋への河口付近で主に栽培されているブドウ品種。辛口で爽やかな風味の軽快なワインを作る白ワイン用のブドウ品種です。基本ミュスカデの白ワインは早飲みタイプが多いですが、、シュール・リー製法で造られたミュスカデは、旨味を閉じ込めた澱とともに寝かせられるため、白ワインに旨味が溶け出し、ただの軽快な辛口の白ワインではなく爽やかながらもほんのり旨味を感じる味わいに変化してきます。
その他、山梨県の甲州や、アメリカのカリフォルニアをはじめとするニューワールドではシャルドネなどによく用いられる製法なんですね~。