スペシャルティコーヒー界の眠れる巨人、ペルーVOL2
長らくスペシャルティコーヒーの生産に消極的だったペルーの風向きが変わったのは2012年から2013年に中南米で猛威をふるったサビ病というコーヒーの感染症の影響ではないかと言われている。病害を防ぐには農薬を散布する必要があるが、オーガニック認証を取得するのであれば農薬を使用するわけにはいかない。そこでようやく政府も業界もスペシャルティコーヒーに目を向けるようになった経緯がある。
そして2017年、コーヒー豆の国際品評会であるカップ・オブ・エクセレンス(COE)がついにペルー国内で初開催された。ペルーコーヒーの歴史の1ページを書き換えるこの一歩は、政府の理解と財政的な援助なくしてなし得なかったのだ。
※カップ・オブ・エクセレンス→以下COE
——–ベールを脱いだ「眠れる巨人」———-
COEの国際審査員として初めてペルーを訪れたある審査員は、そこで生産者の切実な思いを知ったという。
彼らはコーヒー大国としての誇りを胸に抱くとともに、自分たちが造るコーヒーの評価の低さに困惑もしていたのだ。
南米では1999年のブラジルに続き2004年にボリビアがいち早くCOEの開催にこぎつけていたが、ペルーからしてみればブラジルはともかくなんでボリビア??ボリビアはコーヒーの生産量も少なく、当時はライバル視すらしていなかったような存在。それがCOE開催とともに脚光を浴びるようになったのだから面白いはずがない(因みにボリビアCOEは、09年を最後に開催されていない)。
「どうしてペルーコーヒーは過小評価され続けているんだ。なぜこんな安い価格で売らなければいけないんだ。なんとかしてくれよ~~」
長年抱えてきた理想と現実のギャップに生産者の言葉には怒りの感情すらなく、ただただ繰り返される懇願。
なおさらペルーのコーヒー生産者にとってはCOEの開催はまさに悲願だったのである。
2017年、コーヒー豆の国際品評会であるカップ・オブ・エクセレンス(COE)
ペルーで初めて開催。
ペルーコーヒーは以前からそのポテンシャルの高さは十分にあると個人的にも感じていました。がしかし業界で評価が低かった大きな要因として収穫後のコーヒー豆が全てごちゃ混ぜになっていたからです。そこにカップ・オブ・エクセレンス(COE)のフィルターが入ることでクオリティのクラス分けでき、実力がより明確になったことで全てが良い方向に進んでいます。