品種と精製が変わるコーヒーの世界!VOL2


品種と精製が変わるコーヒーの世界!VOL2
コーヒーの未来、、、、種や品種への探求は始まったばかり。ほんの20年前まで、パナマとゲイシャが生み出す驚異の香味は誰にも知られることはなかった。。。今後どんな味が発見されるのか。

これに加えて、精製が注目を集めている。
果実を収穫→種子(生豆)を取り出す。これをプロセス(精製)と呼ぶ。近年に登場したのはこの過程で意図的に発酵を行う「ファーメンテーション」と呼ばれる方法です。



2015年にWBCチャンピオンとなったササ・セスティックらが提案したのはカーボニックマセレーションというプロセスで、果実をタンクに詰めて炭酸ガスとともに発酵させる。より広義にはアナエロビックファーメンテーションと呼ばれ、密閉状態での嫌気性発酵を指します。


※カーボニックマセレーション(CM)とは、コーヒーチェリーを二酸化炭素(CO2)を充填したタンクで発酵させるコーヒーの生産方法です。ワインの醸造で用いられる技法を応用したもので、嫌気性発酵によってコーヒーに独特のフレーバーを与えます。?


この過程でパイナップルや桃、マンゴーのような果実香が発生。そのインパクトは強く、10年足らずで世界中の農園が採り入れるようになった精製方法。

世界最大の生産国ブラジルでも、国際品評会「カップ・オブ・エクセレンス」で2023年からDRY(乾式)、WET(水洗式)に加えて遂にEXPERIMENTAL、つまり「実験的」プロセスの3部門に増えたのは、こういった生産過程においての変化を象徴する出来事だとおもいます。


またこれとは別に「インフュージョン」という手法も登場している。これはコーヒー以外の果実やそのジュース、スパイスなどを添加・浸漬して発酵させるもの(精製後の生豆を浸漬する例も)。さらにその農園由来ではない培養酵母や乳酸菌、香料などを加える例もある。
※当店での昨年限定販売した『ヴィンテージワインバレル』がインフュージョンコーヒーです。





基本のプロセス(精製)であるナチュラル、ウォッシュド以外にもパルプ・ド・ナチュラル、スマトラ等々その中間形や異なる処理の組み合わせなど無数に種類があります。近年ここに各種の発酵処理を組み込む例が世界的に普及し“ファーメンテーション・コーヒー”などと総称されています。
こうしたさまざまな工程を組み合わせて、無数の“オリジナル”プロセスが試されています。一方でこれらは守旧派の間で「その豆のテロワールの香りと言えるのか?」と疑問視する声もある。新しいプロセスは産地の規定や定まった呼称もないため、現状は言ったもの、やったもの勝ちでもある。発酵と腐敗は紙一重、一部では食品の安全性や経済的リスクの可能性も指摘される。(行き過ぎはかなり注意ですが。)

一方で、標高が足りなかったり、テロワールに恵まれない産地や生産者でも、収穫後に付加価値を乗せて売れる可能性が広まった、とも言えます。いずれにせよ、我々ロースターや飲み手(消費者)にとっては「透明性」、つまり何をどう使ってどのように精製したか明示できるか?は、今後の豆選びのカギになってきそうですね。。