お酒の樽で寝かせたコーヒー。
- 珈琲豆
- 2026年10月21日
↑の画像はあくまでもイメージです。
お酒の樽で寝かせたコーヒー。その香りと、フレスタプラス@あらの珈琲の考え方。
つくば市のフレスタプラス@あらの珈琲、焙煎人・荒野です。
コーヒーから、ふわっとお酒のような甘い香り。
その奥には、木を思わせる豊かな香りも。
「これ、本当にコーヒーなの?」
そんな驚きも楽しみのひとつになる、ちょっと変わったコーヒーがあります。
ここ2年ほど、コーヒーフェスティバルの時期に当店でご紹介してきた
「ヴィンテージバレルワイン」と「ヴィンテージバレルカシャーサ」です。
今年は両方の生豆を入手できました。11/7日・8日のつくばコーヒーフェスティバルでも、どちらか1種類を販売する予定です。どちらが登場するかは、もう少しお楽しみに!
その味わいをご紹介する前に、今回は「どのように作られるコーヒーなのか」と、こうしたコーヒーに対するボクの考えを、少しお話ししたいと思います。
お酒に漬け込んでいるわけではありません。
この2種類は、ワインや、ブラジルの蒸留酒「カシャーサ」の熟成に使った木樽に、焙煎前のコーヒー生豆を入れて寝かせたもの。
樽に残るお酒の香りや木の香りを、生豆にまとわせる「バレル・エイジド・コーヒー」、つまり樽熟成コーヒーです。
液体のワインやカシャーサに、コーヒー豆を漬け込んでいるわけではありません。
たとえばカシャーサ版では、カシャーサを寝かせていた木樽で生豆を熟成させることで、豊かな木の香りや、お酒に由来する甘い香りをまとわせています。
それをボクが焙煎して、皆さんにお届けします。
「インフューズド」という言葉だけでは、分からないこと。
外部の素材によって香りや風味を加えたコーヒーは、「インフューズドコーヒー」と呼ばれることがあります。
ただ、その言葉の使われ方には幅があります。果物などを加える方法と、今回のようにお酒の熟成樽で生豆を寝かせる方法では、工程が違います。
だからこそ、名前だけでひとまとめにせず、「何を使い、どのように香りをまとわせたのか」まで伝えることが大切だと、ボクは考えています。
ちなみに、コーヒーの紹介で「イチゴのような香り」「柑橘を思わせる風味」と書かれていても、それだけで果物を加えているという意味にはなりません。
コーヒーそのものが持つ個性として感じられる香りと、今回のように樽からまとわせた香り。その違いは、きちんと説明したいところです。
好みが分かれることと、説明が足りないこと。
こうしたコーヒーについては、否定的な意見もあります。
「豆本来の風味を楽しみたい」
「産地や品種の個性を味わいたい」
「外から香りを加える必要はないのでは?」
その気持ちは分かります。ボク自身、豆それぞれの持ち味を大切にして焙煎していますから。
一方で、いつものコーヒーとは違う香りに出会って、「面白い!」「こんなコーヒーもあるんだ!」と楽しんでくださる方もいます。
どちらが好きかは、飲む方それぞれで良いと思うんです。
ただし、好みの問題と、説明の問題は別です。
樽からまとった香りなのに、あたかも豆だけから生まれた香りのように紹介したら、誤解につながります。
どんな素材を使い、どんな工程で作られたのかが分からなければ、お客さんも自分の飲みたいコーヒーかどうか判断できません。
こうしたコーヒーを扱ううえでの課題は、珍しい香りや華やかさを伝えるだけで終わらず、その背景まできちんと説明することだと思います。
ボクは、コーヒーの楽しみを広げたい。
ボクの仕事の軸は、ずっと変わりません。
「私の仕事とは焙煎家として珈琲豆のイチバン輝くポイントを探し出してあげること!」
今回の樽熟成コーヒーでも、樽からまとった香りとコーヒーの味わいが、どうすれば心地よく楽しめるか。そのポイントを探りながら焙煎します。
そして、お客さんには、いろいろなコーヒーを体験してもらいたい。
いつもの一杯をじっくり楽しむ日もあれば、初めての香りに驚く日があっても良いですよね。
もちろん、作り方を説明すれば、全員が好きになるわけではありません。それでも、理解したうえで「飲んでみたい」「自分はいつもの方が好き」と選べることが大切だと思っています。
作り方をきちんと伝えて、コーヒーの楽しみを広げたい。
それが、あらの珈琲がこの2種類をお届けする理由です。
次回は「ヴィンテージバレルワイン」と「ヴィンテージバレルカシャーサ」、それぞれの香りと味わいをご紹介します。