焙煎の肝は、火加減だけじゃない。「空気のバランス」の話。
- 珈琲豆
- 2026年10月31日
焙煎の肝は、火加減だけじゃない。「空気のバランス」の話。
こんにちは。フレスタプラス@あらの珈琲、焙煎人・荒野です。
コーヒーの焙煎というと、火加減や煎り具合を思い浮かべる方が多いかもしれません。
もちろん、それも大事。
でも、私が焙煎するうえで、肝にしていることがあります。
それが「排気バランス」です。
ちょっと専門的な言葉ですが、簡単にいうと、
焙煎機に入ってくる空気と、外へ出ていく空気のバランス。
普段、お客さまからは見えにくい部分ですが、このバランスが、カップの中の味や香りに表れるんです。
■ 空気は、よく抜ければいい?
煙や空気を外へ出すと聞けば、
「しっかり抜いたほうが、香りもきれいになるんじゃない?」
と思いますよね。
ところが、私の焙煎では、抜けすぎてもいけません。
味が薄っぺらくなり、香りも弱くなる。
深煎りにしても酸味が抜けきらず、渋さが出てしまうこともあります。
色は深煎りなのに、欲しいコクや甘みが感じられない。
見た目の煎り具合だけでは、わからないんですね。
■ 逆に、こもりすぎると?
それなら、空気を逃がさずにおけばいいのか。
これも、そう簡単ではありません(笑)。
こもりすぎると、重たい味になる。
ここでいう「重たい」は、豊かなコクがあるという意味とは、ちょっと違います。
香りが弱くなり、その豆ならではの特徴が出にくい。
銘柄が違っても、味の違いがわかりにくくなってしまうんです。
抜けすぎても、こもりすぎても、豆の持ち味が隠れてしまう。
だからこそ、空気のバランスを大切にしています。

■ 香りを感じて、豆の表情を見る。
排気を調整するのが「排気ダンパー」。
空気の通り道の開き具合を調節するものです。
私が意識しているのは、その「ニュートラル」なところ。
単純に、ダンパーを半分開けばいいという話ではありません。
入ってくる空気と出ていく空気、その釣り合いを見極める感覚です。
そして、ダンパーだけを見ているわけでもありません。
▼焙煎中の香り。
▼豆の膨らみ。
▼豆の表面のシワが、どんなふうに伸びているか。
そうした豆の変化も確かめながら、判断しています。
言葉にすると地味ですね(笑)。
でも、私にとっては、ここが焙煎のリアルな肝なんです。
■ その豆の、イチバン輝くところへ。
華やかな香りを持つ豆。
甘みやコクに魅力がある豆。
それぞれの持ち味を、ちゃんと一杯のコーヒーに表してあげたい。
そのために、火加減とともに、見えない空気の流れにも気を配っています。
「焙煎家として珈琲豆のイチバン輝くポイントを探し出してあげること!」
私がずっと大切にしている、この言葉。
それを実際の焙煎で形にするための、大事な技術のひとつが「排気バランス」です。
今日も、香りと豆の表情を確かめながら。
その豆がイチバン輝くところを探して、焙煎しています。
